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就職活動しました

タイトルの通りです。 無事就職活動を終え、来春からは新卒としてアカデミックを離れてインダストリーに行くことになりました。行き先は化学・素材系の企業です。
この間に実はいろいろなことを考えたりしていたので、忘れないためにもここに書いておこうと思います。

そもそも、なぜインダストリーか

自分がインダストリーをとった理由は列挙するなら以下のような感じです。

  1. 身分の安定性、収入面

  2. 指導教員の影響

 まず一つ目には、やはりアカデミックの不安定さがあります。自分よりも全然優秀な方でも、学振PDに不採用となったり、あるいはポストを探すのに苦労していることを見ると、とても今の自分の戦闘力では戦える気がしませんでした。ちなみに、私は奨学金を借りて大学院に行きました(第1種=利子なしですが)。この返済の必要があることを考えると、少なくとも5年程度は安定性が保障される身分をもつことが必要だとも思っています。ポスドクだと給与面でも安定性の面でも、とりあえずこれは難しいだろうと考えました。
 (ニッチな分野の、しかもベースの給与が高くなってしまう博士課程学生をとってくれた会社には本当に感謝しています)

 2つ目は、自分の指導教員の影響です。私の指導教員は、企業で30年間仕事をして、そのあとで現ラボのPIになりました。
 そのボスによく言われることが二点あります。1つ目は、『アカデミックは「自分の研究したいことを研究する」のに対して、企業では当然ながら「お金になるものを研究する」ということ』、そしてもう1つは、『アカデミックでの研究の目的はひとまず論文であるのに対して、インダストリーの場合は製品であって、そのために多くの人が自分の名前を出すことなく仕事をしていること』。 つまり、製品化のための要素技術・プロセス技術は、おそらく大学などの研究所などで見るよりもはるかに精度の高いものと思います(←実験しないからイメージではあるのですが)。そしてこの違いを理解することなく、アカデミックの方に居続けるのは、かえって研究の面でも、どういうものがブレークスルーとなるのか、という点を見極められなくなる気がしました。
 この両者の違いは聞けば当たり前のことではあるのですが、これをはっきりと言ってくれる大学の先生はほとんどいないと思います。そういう指導教員に出会えたことは偶然ながら、とてもよかった思っています。

大企業か、中小企業か

 これはここで書くべきかどうかわかりませんが、結果的に自分は大企業をとりました。その理由は、場合によっては次のステップのために「辞めやすい」からです。よく、「大企業の歯車にはなりたくない」という意見も聞きますが、ずっと学生を続けていた自分に今見えているものは恐らくかなり限られたものだと思っています。そこで、一旦時間をおいて、卒業後に、自分は何をやって稼ぎたいか、もしくは何がお金を取れるスキルなのかを冷静に考えて、しっくりくるものがあればその先を考えたい後思っています。
 実は非常に魅力的な中小のベンチャー企業を知り合いに紹介してもらったりしました。ここに行くことも時間を頂いて冷静に検討しましたが、今の自分には、十数年、もしくは数十年にわたり会社の屋台骨を支える、という覚悟を決めることはできませんでした。(こういう場合、入社数年でやめる、とかだと知り合いにも迷惑をかけることになります。)  

もうアカデミックには興味がないか

 正直に言えば、現時点では、アカデミックに残っていたい気持ちはとてもあります。(視野が狭いだけかもしれませんが)
これまで2年少し過ごした博士課程は確かに貧乏ではありましたが、それでもいろいろな本を読んだり、数学~物理~化学といろいろ勉強してとても充実していました。大学の外の研究所で過ごせたことも自分にとっては大変幸せなことだと感じていて、ぜひここに戻ってきたいと考えています。

 一方で、研究者たるもの、独り立ちしてからは新しい「研究分野」を開拓することこそが理想なわけですが、今の自分のキャパシティだと、単に「食つなぐための論文」に自分の時間の90%以上を持っていかれる生活に終始する気がします。その先で高齢ポスドクになって、必死で転職活動をするよりは今のうちにインダストリーに行った方が自分の場合はよいだろうと考えました。(見る人によっては「そんなん考えが甘いわ!」と言われるかもしれませんが)
 その他に、近年の化学をタコツボ化していると批判する向きもあり、自分でもいろいろ調べていると、こんな論文に行き当たりました。

onlinelibrary.wiley.com

 今後、インダストリーに行って、新しい視点を持てるよう精一杯働きつつ、いろいろ勉強していきたいと思っています。そこで今の原子・分子を相手にした化学から発展した次の化学の意味を冷静に考えてみて、海外ポスドクなど再びアカデミックの道を模索したい、というのが正直なところです。